『マッドマックス2』 

1981年 オーストラリア 監督:ジョージ・ミラー

マッドマックス 2 [DVD]

マッドマックス 2 [DVD]

何作か邦画が続いたので海外物から。1960年代生まれの野郎には懐かしい映画。昔の映画には男気が溢れていましたよ、もうバトルアクション全開。日本で言えば『トラック野郎』シリーズ、洋モノだったらやっぱり『マッドマックス』3部作だ。非道な奴に戦いを挑むなら真っ向勝負、ドーンと行け。何とかノートにチマチマ相手の名前書いてるなんて軟弱だぞ。喝!

あらすじ

凶悪暴走族との戦いで妻子も警官の職も失ったマックスは失意から立ち直れないまま、愛車V8 インターセプターと愛犬ザドッグと砂漠を当てもなく走る日々を過ごしていた。そんな中、突然核戦争が勃発し都市文明は崩壊。ガソリンが供給されなくなった砂漠地帯は食料とガソリンを求めて殺戮を行う暴走族集団が出没する無法地帯と化した。今日もマックスは襲ってきた暴走族を返り討ちにしタンクから漏れるわずかなガソリンを回収するのだった。
そんなある日、マックスは道端で発見したオートジャイロからガソリンを回収しようと近づくが、それはオートジャイロの主であるジャイロ・キャプテン(ブルース・スペンス)の仕掛けた罠だった。マックスに罠を見破られ、捕まったジャイロ・キャプテンは石油の精製施設の場所を教えると持ちかける。二人が精製施設の近くまでやってくると施設から脱出しようとした車がヒューマンガス(クジェル・ニルソン)に率いられる暴走族集団に襲撃されていた。ヒューマンガスは要塞化して抵抗を続ける施設に投降を呼びかけるが、施設では抵抗を続けようとするリーダーのパッパガーロ(マイケル・プレストン)と投降しようとするメンバーとが対立を始めていた。そんな時、マックスは襲撃で生き残ったメンバーの一人を施設に運び込むが...。

『マッドマックス』3部作を語る際にどうしても出る話が、一作目『マッドマックス』公開当時に話題になった撮影時のアクションでスタントマンが死んだという噂(というか宣伝で言っていたと思います。たしか)。『マッドマックス2』のDVDの映像特典ではメインとサブのスタントマン2名がアクションの事故で病院送りになる映像が収録されています。(調べたら一作目での死亡説については出演者の一人が「ミスターバイク」誌のインタビューで否定したという情報もありました)まあ、それくらいカーアクションには力が入っている、というよりも『マッドマックス2』からカーアクション取ったら何も残らんくらい。それまでに作られたすべてのカーアクション映画(『栄光のルマン』は半分以上ドキュメンタリーなので除く)の頂点に立つ作品がまさに本作といってもいいでしょう。今から20年以上前に作られた映画ですが、カットをつなぐ編集テクニックも含めてアクションシーンの凄まじさは鳥肌モノで人死が出たと思ってもおかしくありません。
もう一つ、これも良く言われる少年ジャンプで1983年に連載がはじまるとあっという間に一世を風靡した人気コミック『北斗の拳』との類似です。主人公の設定や対立する暴走集団のパンクっぽいビジュアル、核戦争後の荒廃した世界という世界観は『マッドマックス2』から完全に影響を受けたと言わざるを得ませんが、マッドマックスファンの中でも評価が分かれる1985年公開の3作目『マッドマックス サンダードーム』では一対一の格闘戦がメインでマックスは子供好きな性格になっており、これは逆に「北斗の拳」をパクリ返したのではという説もある訳です。
ここまで読んで『マッドマックス』3部作は全部カーアクション映画と思われた方もあるかもしれませんが、一作目は警官を主人公にした犯罪サスペンス映画の傾向が強く、2作目は近未来SFヴァイオレンスアクションになり、3作目はファミリー向けSFアドベンチャー(シュワルツネッガーの『コナン・ザ・グレート』の近未来版みたいな感じ)とそれぞれに作風は異なるのです。こいつは、私見ですがはじめの2作の大ヒットで3作目はハリウッド製作になったために、当時ハリウッドで受けていたアドベンチャーものの要素を無理矢理入れたような気がします(ちなみにインディジョーンズ3部作の一作目『レイダース/失われたアーク』の公開は1981年で2作目の『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』の公開が1983年)。自分としては1作目も3作目も映画としての出来は決して悪いとは思いませんし、家族で見るには1作目、2作目は内容的に過激すぎるでしょう(特に2作目のヴァイオレンス描写は現在ではノーカットでは地上波放送は無理っぽいレベル)。しかし、主人公のキャラが一番立っているのは2作目です。完全に人間不信に陥り孤独な戦いを続けていた主人公が、一度は仲間として受け入れられるものの、それを拒否してしまう。そして戦いで傷き、自らが拒否した仲間に助けられ、ついに自分の復讐のためではなく仲間のために戦うことを決意する主人公、まさに「漢」と書いて「オトコ」ってやつですね。
ちなみに、最近はしゃべる豚ちゃん映画『ベイブ』とか、踊るペンギンちゃん映画『ハッピーフィート』といったすっかりファミリー向け映画しか撮らないジョージ・ミラー監督ですが、『ロッキー4』に刺激されたのか『マッドマックス4』の製作準備にかかっているらしい。一応マックス役はメル・ギブソンを想定してるらしいけど初老のマックスとか見たくねえけどなあ。

『マッドマックス』3部作については mandamTさんの「ブロンソン原理主義」(武論尊ではない)に詳しく紹介されております。やっぱ男気映画ですから。
http://charles-bronson.hp.infoseek.co.jp/Madmax2.htm