『Blood The Last Vampire』

2000年 日本 監督:北久保弘之

BLOOD THE LAST VAMPIRE デジタルマスター版 [UMD]

BLOOD THE LAST VAMPIRE デジタルマスター版 [UMD]

レンタルDVDで。
キル・ビル』のオーレン・イシイの生い立ちのアニメパートをベースに制作された劇場アニメ。ウソです! この作品を見たタランティーノが、『キル・ビル』にアニメパート入れることにしたということで、『キル・ビル』で引用された諸作品が『キル・ビル』公開後に再評価される、いわゆる「キル・ビル効果」で有名になった作品。
キル・ビル』で再評価された作品はいっぱいあるんで、そのうち「キル・ビル」か「タランティーノ」ってカテゴリーでも追加しようかな。

英語しかしゃべれない日本人(らしい)帰国子女で、なぜかセーラー服姿のヒロイン小夜(さや)がベトナム戦争当時の横田基地内で、日本刀で吸血鬼とバトルするという、ほとんど「オーレン・イシイ」アニメパートと同じような設定。ヒロインの声をあてているのは、すっかり英語がうまくなった工藤夕貴さん。

ご存じの方も多いと思いますが、これを制作した「プロダクションi.G.」は押井守監督の作品などで、人間の格闘系アクションを得意とするアニメ制作会社。キャラの造形にややクセがあるものの(この作品のキャラ設定はイラストレーターの寺田克也氏)、アクション描写は世界屈指です。
アメリカでの公開を前提にしたためだろうと思うけど、登場人物が全員英語しか喋らず日本版は字幕付きだとか、公開当時は北久保監督やプロダクションi.G.自体の知名度がそんなになかったこともあって、あんまり話題にならなかったと記憶しています。
吸血鬼の特性やバックボーンがほとんど明かされないままというのは、吸血鬼映画のセオリーからするとちょっとNGなんですが、この映画の吸血鬼は「翼手」という、世間一般(?)の吸血鬼とはちょっと違う種類のようです。

小太りの保険の先生が事件に巻き込まれて行くんですが、わざわざ危険な方に逃げたりとか、行動パターンがまるでドリフのコントみたいです。メリケン製ホラー映画に出てくる、叫ぶだけの頭からっぽヒロインの影響なのでしょうか。アクションがハイレベルなだけに、ちと残念でした。

企画成立の経緯や、プロダクションi.G.と押井守監督の関係などはこちらを参照してください。
http://www.sonymusic.co.jp/Animation/blood/