『サスペリアPART2/紅い深淵』

1976年 イタリア 監督:ダリオ・アルジェント

出張で楽天トラベルのポイントがたまったので、楽天BOOKSで購入。
今まで、過去に見た作品はわざわざ見た当時まで遡って追加していたんですが、面倒なので最新に追加して行きます。

たしか高校生くらいに、なぜか休日の昼間の時間帯にTVで放送されていたのを見たのですがミステリーとサスペンスとホラーがミックスされたようなストーリーと、当時の邦画とは比べ物にならないようなスタイリッシュな映像にヤラレました。サスペリアの方が知名度は上ですが、脚本や映像スタイルはこちらの方が断然上だと思います。ただ、若い女の子が出てこないのとストーリーがやや凝り過ぎなので、いまいちヒットしなかったんでしょう。このDVD1枚には公開版と完全版の両方が収録されてます。原題は"PROFOND ROSSO"で英語のタイトルは"DEEP RED"。素直に翻訳すれば「深紅(しんく)」とかでしょう。DVDの邦題『紅い深淵』だと鮮血の意味がちょっと薄れてしまうよなあ。

ある殺人事件を目撃したピアニストが女性記者と素人探偵になって犯人探しを始めるが、過去の惨劇を手がかりに調査を進めると、調査に協力してくれた人たちが次々に殺されていく。惨劇の舞台となった屋敷を探し当てた主人公はそこですべての謎を解く鍵を発見し、ようやく犯人にたどり着いた主人公と女性記者だが、犯人の魔手は彼らにも伸びようとしていた。そして深紅に彩られるラストシーンは...。
ラストにドンデン返しがあるのですが、はっきり言ってこのラストより前のシーンはすべてラストのための伏線だと言っても過言ではない(笑。恐怖映画を観客に楽しませるためのオマケみたいなもんですな。ドンデン返し自体はなんとなく予想できちゃうのですが、トリックそのものは初見だと本当にしてやられた!と思います。

冒頭、心霊現象の講演会で虫のテレパシーの話があったり(『フェノメナ』)とか、幼児のトラウマ体験が事件の伏線になっていたり(『トラウマ』)とか、犯人が手がかりを持つ人物を次々に殺したり(『シャドー』)とか、その後のアルジェント作品のプロットがてんこ盛りになっていて、若干消化不良気味なところもあります。しかしまあ、そういう本筋とは関係ない部分でいろいろ語れてしまうのがこの映画がマニア受けする所以かと。

DVDの推薦文(?)は黒沢清監督ですが、たしかビデオは淀川長治さんでした。実は淀長さんは、ワンシーンだけ出てくるゲイの美青年がお気に入りだったのかも。