『初春狸御殿』

1959年 日本 監督:木村恵吾

初春狸御殿 [DVD]

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まだブレイクする前の市川雷蔵勝新の両大先生がすでに超売れっ子だった若尾文子(狸姫と村の娘の二役)と恋の駆け引きを演じるロマンチック時代劇コメディ。狸城の腰元(狸)役で中村玉緒、家老(狸)役で中村雁治郎親娘も出演。
狸城のタカピーなキヌタ姫は「見合いなんて古くさい、これからは自由恋愛よ」「人間の男なんか簡単に化かしてやるわ(増村保造監督みたいにか?)」と城を飛び出してしまいます。一方、城の近くの村では、姫に瓜二つの狸娘に薬売りの勝新が言い寄ってますが、なかなか相手にされず、ビキニの河童ギャルにからかわれる毎日。城では見合いの日が迫り、困った家老は姫に瓜二つの村の狸娘を姫に仕立ててごまかすことに。ところが相手の若殿は村娘に惚れてしまい。
後に「刺青」「卍」などの谷崎潤一郎原作の増村監督の作品での若尾文子ファムファタールを演じることが多いですが、デビューしたてのこの頃はあやしいお色気がない代わりに溌剌とした初々しさに溢れています。シルバーのおかっぱウイッグの河童ギャルたちが、なぜか「できるかな」のゴンタ君みたいな効果音でコンタクトするのがツボに来ました。いきなり民謡大会や花柳社中の日舞ダンシングが入ったりとお正月映画らしくやたら画面がカラフルかつ賑やかで、インド映画でも見るようです。映画が家族そろっての娯楽だった「貧しくとも幸福な時代」の映画という感じです。