『発狂する唇』
1999年 日本 監督:佐々木浩久
- 出版社/メーカー: アップリンク
- 発売日: 2001/01/25
- メディア: DVD
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この監督の作品は、この『発狂する唇』の続編(?)である『血を吸う宇宙』と「悪魔の刑事(デカ)祭り」で上映された『刑事発狂』を先に見てしまっていた。最近、やっと近所のレンタル店にDVDが入荷したのでようやく見ることができた。
結論から言うと主演の三輪ひとみの体当たり演技が自分にはどうしようもないほどに素晴らしく後はどうでもいい映画。もちろん面白いことは言うまでもない。ストーリーは、ひたすら馬鹿馬鹿しく不条理であるとしか言い様がないのだが、場当たり的に話が転がって行く感じはなんとなく「にっかつロマンポルノ」的な印象もある。霊媒の助手役の下元史郎が、中盤以降ほとんど強姦魔みたいになっているせいかもしれない。
映画とはあまり関係ないが、主演の三輪ひとみは、2002年に放送されたスーパー戦隊『忍風戦隊ハリケンジャー』に、額に封印したメダルの力で500年生きているという超能力者の巫女さん御前様=覚羅(カグラ)役で、刑事役の諏訪太郎は翌年放送された『爆竜戦隊アバレンジャー』に、秘密基地になっている和風喫茶「恐竜や」の常連客、横田さん役としてレギュラー出演していた。2年連続のこのキャスティングは、おそらく偶然ではないと思うのだが東映にも佐々木作品ファンがいるのだろうか。しかし、子供向け番組に諏訪太郎がレギュラーで出るとは思わなかった。
『発狂する唇』でも『血を吸う宇宙』でも終盤いきなりカンフー・アクション・シーンが挿入される。ストーリー的には相当変だが、それなりに楽しめてしまうのはアクションがかなり本格的だからで、スタッフを見て驚いたのだが、わざわざ香港からアクション監督として熊欣欣(リュウ・シンシン)を招いていた。熊欣欣は、『ワンス・アポンナタイム・イン・チャイナ』シリーズや『片腕ドラゴン』のリメイクである『ブレード』などのツイ・ハーク監督作品に出演しているベテランのカンフー・アクションスターだ。まさかこんなわけのわからないストーリーの作品でアクション指導するとは思わなかっただろうな。
主演女優がひたすらひどい目に合い続けるということではホラー作品とも共通しているが、ヒロインが過酷な運命に抗い続けるという点では梶芽衣子の『女囚さそり』シリーズにより近いかも知れない(こっちもストーリー展開がひたすら場当たり的で不条理だし)。
佐々木監督作品には単なるバカ映画と切り捨てられない摩訶不思議な魅力が満ちている。